バ科学者のノート 2冊目

小説をただひたすらに書いていく

38 真剣勝負と裏技

ドスン
『ボス』の取り出した心器は身の丈ほどの大きな両刃剣
「命知らずがまたきやがったな」

「貴様とは二度目の相対か。本当に、お前は退屈させてくれない」
鼻で笑うように『ボス』は言う
ルソーはその言葉を聞きながら彼の動きを見ていた
「今回もさぞ楽しませてくれるんだろうな?」

「残念ですが、楽しむ余裕はありません」
ルソーは包丁を『ボス』に向ける
「何故なら、貴方はここで死ぬからです。一度恩義を着せて社会的措置を取りましたが、僕はもう怒髪天を突きました」
ぎっと、ルソーは『ボス』を睨む
「貴方にはここで死んでいただきます」

先に飛び出したのはルソーの方だった
両手に握った包丁をひらめかせ、『ボス』の心臓を狙う
『ボス』は悠然と両刃剣を眼前に構え、包丁をはじいた
「まだまだ」
ルソーは間髪入れずに包丁を取り出し、更に追い打ちをかける
一撃こそ入らないが徐々に『ボス』を押していくルソー
そのとき、『ボス』が大きく両刃剣をふるってルソーをはじいた

素早く体制を立て直すルソー
そこに『ボス』が大きく飛び上がり剣を振り上げた
素早く下がって次の包丁を構える
金属のぶつかり合うような音がして、ルソーと『ボス』は鍔競り合う

「やるようになったじゃねぇか、ルソー・ハレルヤ」
『ボス』はにやりと笑う
「だが、まだ俺を殺す段階じゃない」
「何ですって……?」
「まだお前は俺に挑むべきじゃなかった。いや、ここで挑むのは間違っていた」
瞬間、ルソーは視界が眩むほどの斬撃を後ろから食らうことになる