バ科学者のノート 2冊目

小説をただひたすらに書いていく

39 選択肢

「……っ、ちぃ」
ドスンと音を立てて鋸を地に置いたのは『匠』だった
かれの目の前でルソーは背中を斬りつけられて倒れていた
「残念だったな、『赤髪の殺人鬼』。ここは俺たちの拠点。いくらでも展開をひっくり返せるんだよ」

ぴくり
ルソーの指が僅かに動く
視線が上がり、目の前の『ボス』を睨む
「ほう、これでもまだ生きているとはな」
「黙れ……」
ズッと袖を擦って立ち上がろうとするルソー
しかし、その足を掴む何か
視線をそちらに向けると、機械のアームが足を掴んでいた

一斉にアームが襲い掛かり、四肢を捕らえる
必死にもがくルソーだったが、体が宙に浮き、磔にされた
「貴様の根性は感心する。お前の実力を買いたい」
「よかったな。殺さずに利用してやるってよ」
ルソーはその言葉を聞きさらにもがこうとするが、背中の傷から滴る血が意識を遠のかせる

「洗脳してやるよ、このままな」
『ボス』の声に、ルソーは目を閉じた
「ごめん、姉さん」
そんな言葉を、呟いた