バ科学者のノート 2冊目

小説をただひたすらに書いていく

お題SS「夏の空と廃工場」

「いつ頃だったっけなぁ」
そう言いながらこの廃工場に足を運んだ男が言う
彼の後ろにも、数人の人物
「ここを秘密基地にしようって言ったのは」

「まさに「秘密基地にしてくれ」って言わんばかりに建ってるよな、ここ」
「懐かしいわね。夏休みになると、毎日必ずここに来た」
「大人の目を掻い潜るのも楽しかったな」

「で」
一番後ろの男が声をあげる
「ここが取り壊されると知って、抵抗したのも覚えてる」

「唯一の居場所と言っても過言ではなかったからね」
「結局ここは残ったまま。何日籠城した?」
「覚えてないわね」
「でも、人生で一番長かった」

「なぁ」
そこにいるのは、人に言えない秘密の力を持った7人組
屋根のない天井に広がるのは青い青い空
夏空に照らされた彼らは、再び団結しようとしていた
今度は、世界を守るために

「ここを秘密基地にしよう」