バ科学者のノート 2冊目

小説をただひたすらに書いていく

7 首を狩るということ

「逃げろォ! 殺人鬼だァ!!」
そこにいた人間は散り散りに逃げ出す
逃げ遅れた一人の首に鎖がかかった
「うぐっ!?」
そのままギリギリと締め上げられる
常人の力ではないそれに加え、後ろから背中を押され、彼は窒息した

「うーん、いまいち」
家愛は手に持っていた鎖を手放し、新たな鎖を胸から取り出す
「家愛、いつものことだが手が遅いぞ」
「悪かったわね! 先に行きなさいよ!」
秀忠は腰のひけている信行の手を掴み、逃げる集団を追いかけた

胸からずるりという音が響く
現れたのは身長程あろうかという大斧
秀忠はそれを片手で振り回し、目の前の男の頭を割った
「やべぇってあいつら! 噂の『首割り』と『首括り』だ!」
悲鳴にも似た声が言う

「信行、これはお前の仕事だ」
秀忠は信行に言う
「難しいことを考えるな。その鎌で、あの集団を一人でも殺せたら認めてやろう」
「で、でも」

「この期に及んで怯えちゃってるの?」
家愛が信行の頭をなでる
「なんてことはないわ。ふっきれなさい」

瞬間、信行には後ろから鉄パイプを振りかぶる男が見えた
考えるより体が動いていた
胸から取り出したのは、これまで使ったことのない大鎌
振りかぶり、相手の首を捕らえ、そのまますとんと引き下ろした

ギロチンにかけられたような死体がそこに出来上がる
血まみれになる三人はお互いに顔を見合わせた
「……何も考えないほうがいいみたいね」
家愛は笑いながらそう言った