バ科学者のノート 2冊目

小説をただひたすらに書いていく

3 新生活といつも通り

「ふー、とりあえず基地内の電子機器整備完了っと」
壁と向かい合って作業していた大黒が汗をぬぐって立ち上がる
「そこの機械つけてくれれば冷房もパソコンも使い放題」
「ちなみにその機械、何?」
「発電機」
「発電機いるからいいじゃねぇか」
「おい誰が発電機だ」

「……懐かしいねぇ、この空間」
信楽が周りを見渡して言う
「ここで宿題したり遊んだりしたな」
「夏休みはずっと籠ってな。子供だけで花火やったのも懐かしいや」

笛利は少し離れて高田のそばで座っていた
高田は目が悪いが、周りの様子を感じ取ることはできる
「流哉、皆のところに行かなくていいの?」
「お前も同じだろ、論」
「……変わらないね、君は」
「お互い様だ」

パソコンの電源が入り、歓喜する一同を見ながら笛利は続ける
「今まで、普通に生活、送れていたか?」
「一応ね。細かいものは見えないから、仕事は限られたけど」
「……そうか」

「俺は流哉のこと、縛り付けるつもりはないよ」
高田の一言で、笛利が彼を見上げる
「だから、いつも通りでいいからね」
笛利は頭をかいたが、立ち上がって高田の手をとった
「「いつも通り」いてやるよ。お前のことも、仲間のことも、見捨てたりしない」
「……」
そして高田の手を引いて仲間の元に向かった