バ科学者のノート 2冊目

小説をただひたすらに書いていく

4 反乱と結果

「にしてもあっちーな。早く基地に戻りてぇ」
暑さにうだる九十九を横目に信楽は重い荷物を持ち上げて歩いている
「だから私一人でよかったのに」
「一人だけに任せるってなんか嫌」

「懐かしいよね。この道も、さっきのスーパーも、あの廃工場も」
「そうかぁ?この10年くらいで大分変わったぞ」
視点の違い、趣向の違い
それでもあの7人が集まったのは、ある意味において奇跡に近かった

「覚えてる、昔起こした「喧嘩」」
信楽が言うのは、過去に小学6年生だった彼らが秘密基地を守るために起こした反乱だった
結果としては彼らが基地の防衛に成功し、圧力をかけて能力の存在も伏せることができた
大勝利、だったはずだった

「覚えてるさ。もう、あんなこと起こしたくなかったがな」
九十九は視線を落とす
反乱は彼らの家族の耳にも入り、それから無理矢理引きはがされるようになった
それでも彼らは家族の目を掻い潜り、中学を卒業するまで秘密基地に集まっていた

「…・…大丈夫、だよ」
ぽつり、信楽が呟く
「今度は、私たちが世界を守る番なんだから」
「……そう、だな」

九十九は荷物を持ちなおし、かるく胸をそらした
「帰るか、基地に」
「うん」