バ科学者のノート 2冊目

小説をただひたすらに書いていく

2 異常気象と生命体

やろうと思えば10年放っていた室内も綺麗になるもので
7人はゴミ袋を端に寄せ、中央で円陣を組んでいた

「皆、よくきいてくれ」
集団のリーダー格である赤城が口を開いた
「最近、近隣で見たことのない生体反応があったとマキから聞かされた」
「本当なのか、マキ?」
高田の問いにマキ……真宮は頷いた
「どうも地球上……は言い過ぎかもしれないが、この近隣では見たことのない生命体だった」
目つきが悪く誤解されがちだが、真宮は優しい男である

「それについては、私も」
信楽が手を上げる
「最近の災害や異常気象の連続、人為的に見えるほどおかしい状態が続いてる」
「で、俺たちを呼び出したわけだな、山さん」
笛利は山さん……赤城に確認の目配せをした

「この異常気象はどうにもならないんじゃね? 世界規模なんだろ?」
大黒が首を振った
「いくら俺たちが「異端」でも、そんな大規模な改変はできない」
「そう。だから俺たちは「大元を叩く」」
赤城の言葉に全員が真剣な顔を上げる
「おそらくこの災害の原因はそこにある。それを俺たちの手で抹消するんだ」

「大将が本気なら、私らもついていくよ」
「たしかに、それは放っておけないね」
「楽しくなってきたじゃねぇか!」
「世界から疎まれた俺たちが世界を救う、ねぇ」
「ありなんじゃない? たまには世界に感謝されようよ」
「意見はまとまっているみたいだね、山さん」

「俺たちが、世界を救う」
七人はこぶしを合わせた

この夏
平成最後の夏
小さな救出劇が行われようとしていた