バ科学者のノート 2冊目

小説をただひたすらに書いていく

8 超物体と探求心

「ほーう」
大黒が感嘆の声を漏らす
白手袋で掴んだそれは、先ほど九十九と信楽が拾ってきた小さな機械
「すごく興味をそそるな、こいつは」

「何かわかったか、大黒屋」
赤城の声に大黒は首を振った
「ぜーんぜん。だから面白いんだよ」

赤城は大黒が昔からの研究者気質なのを思い出した
「こいつは少なくとも、俺たちが普段使っている機械に組み込まれる物質ではない。地球上にあるかも怪しいな」
「……つまり?」
「外的要因が関わっているのは確かだ。これが何を引き起こすのか、見てみたい気持ちもある」

「それは許さんぞ、大黒屋」
笛利が異論を唱えた
「それのせいでまた異常事態が起こったらどうするつもりだ」
「わかってますよー」
大黒は手袋を外し、機械を握りつぶした
彼女が手をひらくと、さらさらと粉のようなものだけが残った

「外敵がいることは間違いない。気を引き締めるしかないな」
全員が一様に頷いた