バ科学者のノート 2冊目

小説をただひたすらに書いていく

12 始動と気配

『走って、九十九。次の角を右に曲がってすぐにエネミーだ』
あれから赤城たちは黒い流体の生物を「エネミー」と呼ぶことで統一した
そして、その生態系や彼らが持ち込んでくる機械を調べながら実態に迫ることにした

角の直前で体を横に滑らせ、九十九は雷を纏ったダーツを放った
真宮の通信通りそこにいたエネミーは悲鳴をあげて蒸発する
「スイちゃん!」
高田がそこに合流する
彼は素早く来た方と反対の方を見やり、九十九に言った
「耳を塞いでしゃがんで!」

九十九の動作を確認した高田は、両手を前方に出し打ち鳴らした
瞬間風のようなものがエネミーを襲い、彼らはそこで気絶してしまった
「でかした、論」
「山さんと流哉もすぐにここに来る。それまで、この生物を調べておこう」

一方、基地の方では、真宮が指示を出している横で信楽と大黒が機械をいじっていた
「複雑なつくりだけど、わかるの?」
「機械屋になって日は浅いが、ある程度までは理解できる。大丈夫だ」
調べているのは勿論、エネミーの残していった機械
調べられたものは順番に大黒が灰にして証拠隠滅している

「にしても、最近この辺に災害が集中してきたね」
信楽がぼそりと呟く
真宮は後ろを振り返り、信楽の方を見た
「俺たちが動いてるのを、向こうも把握しているはずだ。直接対決は避けたいけどね」

「この世界は、大丈夫なのかな」
信楽は再び呟く
真宮は黙って、パソコンに向き直った