バ科学者のノート 2冊目

小説をただひたすらに書いていく

14 折り返しと自由工作

茹るような異常な暑さも残り一か月ほどとなった
秘密基地には大黒を除く6人が地下で涼んでいる

「地下施設とはいえエアコンなかったら死んでたな」
九十九が言う。ちなみにここの電力は大黒が大手から引っ張り込んだ
「機械のオーバーヒートも怖いところだよ」
真宮も頷きながら言う

「皆ぁ、アイス食べない?」
冷蔵庫から棒アイスを取り出しながら信楽が言った
皆がわらわらとそちらに寄る
「大黒呼んでくるから先に選んでろ」
九十九はそういうと端子を上り、天井のドアを開けた

途端に体を襲う異常なまでの暑さ
まぶしい太陽に目を細めながら、九十九は大黒の姿を見つけて声をかけた
「大ちゃん、アイスたべない?」
「お、いいねアイス! 食べたい!」
大黒は工具を持ったまま返した

大黒は最近地上に出て何かを作っているようだが、何をしているかは教えてくれない
九十九はその機械の製作初日に彼女がウキウキしていたのだけは見ていた
「なー、いい加減なに作ってるか教えてくれよ」
逆探知されたら困るだろ?だからギリギリまで秘密」
あ、でも、といいながら大黒は工具を片付けこちらに歩いてきた

「スイにはすこし協力してもらいたいな」
「うぇ?」
大黒はそれ以上は教えなかった