バ科学者のノート 2冊目

小説をただひたすらに書いていく

15 月明りとエンブレム

夜も更けたが、蒸し暑い気温は変わらない
昼間より幾分ましになった程度か
赤城は誰もいない廃工場の上でぼんやりと空を眺めていた

「よっ、山さん」
九十九がそこに地下のドアを抜けてやってくる
「早く寝ようぜ。明日も猛暑だってよ」
「ああ、今行く」

赤城は気が付いていた
敵は既にここに目星をつけている
今は様子見だが、いずれここに来るのは間違いないだろう

彼はペンキの入ったちいさなバケツを持ち上げ壁に向かう
月明りだけに照らされたそこに筆をおいて書くのは、とあるエンブレム
それは、小さい頃にこのメンバーで決めた、ここにいる証

「かかってこいよ、人類の敵よ」
赤城はそう呟き、筆をおいた