バ科学者のノート 2冊目

小説をただひたすらに書いていく

2 初登校

制服は嫌いではない
ぴしっと締め付ける感覚は心まで正される心地よい感覚だ
いつものヘッドホンをつけ、階下に降りると、下宿先のおばさんが朝食を用意してくれていた

新学期が始まって間もないこの頃
桜の花びらはまだその形を保って風に揺れる
同じ制服の人間たちが互いに喋り合いながら横を通り過ぎていく
運動は苦手だ。足が遅いから

正門にはジャージに身を包んだ男性が立っていた
他の生徒は気にせず通り過ぎていく
恐らく生徒指導の先生だろう
彼は男性の前に立つと、一礼した

「な、なんだ?」
「今日からここでお世話になる者です。挨拶をと思って」
「……」
先生は遠賀川のヘッドホンを見て眉間に皺を寄せたが、ウサギのマークを見つけて道を譲った
「聴覚過敏がこんなとこ来るんじゃねぇよ……」
小声でそう言ったのが聞こえたが、構わず進んでいった