バ科学者のノート 2冊目

小説をただひたすらに書いていく

5 危険信号

放課後、帰ろうと荷物をまとめる遠賀川の元へ、水城と功刀宮がやってきた
「……何だ」
「部活、まだ決まってないんだろ?勧誘に来た」
「うちの演劇部、人数が少なくって……」
「興味ない」

ふいとそっぽを向いて帰ろうとする遠賀川に、水城は食い下がる
「そんなこといわずに、見学でも」
「うるせぇ!」

瞬間、強い力で水城が跳ね飛ばされた
「うわっ!?」
そこにいた水城や功刀宮は勿論、当の本人である遠賀川も驚きを隠せないでいた
そして気づく、自分の周りを、何かが回っている
白いテープをわっかにしたような何かが

暁は思わずその場から逃げ出した
「あっ、遠賀川!」
それを追おうとするが、水城は立ち上がるのに手間取ってしまい、見失ってしまった

近くの公園まで走ってきた遠賀川は、あらためて自分の周りをまわる白いテープを見る
何も書かれていない、ガムテープ位の太さの白い何かだ。触れようとすると弾かれる

遠賀川さん!?」
その声に振り返ると、黒波と春日がそこにいた
「先生、俺……」
「冷静になって、遠賀川君」
しかし、遠賀川には違うものが違うものが聞こえていた

「なんで……」
遠賀川君?」
「なんであんたらが不協和音を発してるんだ?」

もう訳が分からない
頭を抱えて膝を折る
白いテープにノイズが走る
思考が真っ白になっていく――

「仮面反応……。来ます!」
何かがバチンと弾け辺りが一瞬白くなる
視界を取り戻した黒波と春日が目にしたのは、正気を失った遠賀川であった