バ科学者のノート 2冊目

小説をただひたすらに書いていく

4 保健室

どこに行ってもやまない「不協和音」
遠賀川は頭がくらくらしてきていた
無音の場所を。せめて静かに音が流れる場所を
そうして彼は気が付いた

「……保健室」
彼は息を呑むと、そのドアを少しだけあけた
そこには保険医と生徒が一人
音は殆ど聞こえず、二人の他愛もない会話だけが響く

「あら?」
保険医の方がこちらに気が付いた
遠賀川はドアをあけ、遠慮気味に入ってきた
「外がうるさくて。少し休んでもいいですか」
正直に告白すると、二人は笑顔で彼を受け入れてくれた

「君、転校生の遠賀川君だっけ」
保険医はお茶をだしながらそう言う
「何で知ってるんですか」
「昔から記憶力だけはよくてね。名簿、見させてもらったの。勿論、聴覚過敏なのも知ってるから安心して」
そう言われてようやくほっとする遠賀川

「私は黒波英子。そこの生徒が春日小春。保健委員よ」
「よろしくお願いします」
人当たりのよさそうな柔和な笑顔を向ける春日
「……遠賀川、暁、です」
遠賀川はたどたどしくそう言った