バ科学者のノート 2冊目

小説をただひたすらに書いていく

14 遠賀川の力

自分に力が備わっているのはなんとなく分かっていた
しかし、この力をどう使えと言うのか
迷ってる間に狼は前足で遠賀川を潰しにかかってきた
転がる様にかわすも狼は後を追ってくる

(どうすれば……)
遠賀川は走りながら考える
そのとき、ふと彼の視界に何かがうつった
それは、白い紙にかかれた文字
何処の文字なのかは分からなかったが、遠賀川は確信を得た
そして、足を止めて狼とまっすぐ向き合った

「……コピー展開「「過護」防衛の仮面」!」
遠賀川が叫ぶ
振り下ろされた前足から遠賀川を守ったのは、先日彼を襲った黒波の盾であった

「やっぱりな……」
彼は盾を前方に構え走り出した
連続で繰り出される攻撃をかわし、彼は飛び上がる
瞬間、後ろから前足を強く叩きつけられ、遠賀川の体は高く打ち上げられた
しかしこれも、彼の計算の内だったのだ

「コピー展開「「慈愛」快癒の仮面」!」
盾は消え、ばっとメスの羽が現れる
彼は風にのり、狼の頭を蹴りつけた

バランスを崩し、狼の姿が消えていく
そこにあった姿は消え、水城の姿が地面に残るだけとなった
遠賀川は彼女を抱き上げる
ふわりと彼女が光り輝き、穏やかな眠り顔となった
遠賀川は宙に浮いていた紙を消し、彼女を背負って帰路についた