バ科学者のノート 2冊目

小説をただひたすらに書いていく

12 わかない実感

「うん。様子は聞いてたけど、僕がいれば君一人でも大丈夫そうだね」
イマイはキーを叩きながら言った
「その調子で頼むよ、信行」
「はい……」

「なによ、嬉しくなさそうね?」
明るく弾んだ声で家愛が言う
その後ろから秀忠がため息を吐きながら言った
「まだ慣れてねぇんだろうよ。すぐになれるもんじゃない、「殺人鬼」には」

「信行、昼間の外出を許可しよう」
イマイはキーを叩く手を止めてこちらを向いた
「外出できない僕に代わって情報を集めてきてほしいんだ」
「分かりました。そのくらいなら、僕にもできそうですね」
信行は蚊の鳴く声で言った

「イマイ、コーヒーいる?」
「悪いね、家愛。一杯お願いするよ。君たちは」
「いただきます」
信行はぼんやりと部屋の一角を眺めていた