バ科学者のノート 2冊目

小説をただひたすらに書いていく

7 「事件」と「欠片」

「さて、どういうことか説明してもらおうか」
事務所に帰った真はマコトにせまる
マコトは両手を上にあげ、それでもにやにやしている
「おお、怖い。私の扱いにも慣れてきたようだねぇ?」
「話をそらすな」

「君が見ていたあの黒い気は「事件」と呼ばれる存在だ」
指をたててマコトは言う
「人の負の感情と結びつき、文字通り不可解な事件を引き起こす」
「それを暴くためには、僕の言葉が必要になる、ということか」
「そういうことさ。そして、私たちは事件が持つ「欠片」を集めている」
マコトは先ほど倒した獣が持っていた黒い破片のようなものを見せる

「どうしてそんなことをする必要があるんだ?」
「この「欠片」を放っておくと更に成長し、いけない物が憑りついてしまう」
「いけないもの?」
「『恐るべき者』と呼んでくれ。今はそれだけでいい」
真は机に置いたコーヒーをすする

「私たちはそれを阻止するために君を選んだ。だからお願いだ。協力してほしい」
「……」
真は考えた。またあの凄惨な光景を見なければならないかと思うと、遠慮したい気持ちが勝った
「ちょっと、考えさせてくれ」
真は立ち上がった