バ科学者のノート 2冊目

小説をただひたすらに書いていく

17 その先にあるもの

「いってくるよ。留守番よろしく」
そう言ってイマイは出て行った
残された三人は事務所の掃除である

「今年も一年終わるね」
「あっという間だったな」
「……信行、貴方、今年はどうだった?」
家愛から話題を振られ、信行は考え、言った
「いい一年でしたよ」

考えてみれば、イマイに拾われて数か月、色んなことがあった
死にそうな目にもあったが、結果としていい人生を送れていると思う
「復讐」も完了した今、彼に残るのは「感謝」だけだった

「ここ、出て行くつもりは?」
「ありません。皆恩人ですから」
「そう」
少し悲しそうに家愛は言った

「そういや、イマイのやつ次は何を考えているんだろうな」
「業務提携を組むとか言ってたような気がするわよ」
そんな声をよそに、彼は考えていた
来年からはじまる、「死神」としての本当の仕事
それにそなえなければと頬をはたいた