バ科学者のノート 2冊目

小説をただひたすらに書いていく

4 緊急事態勃発

「はよーっす」
明るく叫びながら信は教室に入る
しかし、教室の中は暗いオーラで満たされていた
このクラスを含め、近辺で不可解な事件に巻き込まれたものは多い
『明日は自分かもしれない』という、里美と同じ恐怖に見舞われているのである

仕方がないので席について準備をする
(今日も一日、何も起きませんように)
静かに願うのが、信の日常と化していた
隣の里美も目を閉じ、祈っているようだった

しかし神は時として残酷だ
いつ二人を見放すか分からないのだから



数学の教科書をめくりながら、信は大あくびを一つ
昼食後の数学の授業は眠気が襲ってくる
うとうとし、ガクンと頭を落として目が覚める。これを信は続けていた

里美は窓の外を眺めていたが、突然、隣の信の足を踏みつけた
「ぎゃっ」
喉まで出かかった声を殺し、信は里美の方を見る
彼女は外を指さし、一つ頷いた

「先生、前回のテストの解説をいただいていないのですが」
「南総? 前に配ったはずだが……」
ぶつぶついいながら教師は教室を出た
そのタイミングを見計らい、里美と信は外に飛び出した