バ科学者のノート 2冊目

小説をただひたすらに書いていく

任務デート【ノイジー編】

「任務デートです、ノイジーさん」
そう言ってきた西名の様子がいつもよりおかしいことにノイジーは「音」で感づいていた
見れば、白い肌は更に青白く、頬はこけ、目の下にはクマ
普段なら純粋な好奇心でキラキラしている目は白目にぽっかりと穴が空いたような、所謂四白眼になっていた

「ににに、西名さん、お疲れじゃないですか、お休みなされた方が」
「任務なので拒否権はありません。いきましょう」
ノイジーは踵を返して走り出したが、スピードで西名に勝てる訳もなく
結果、「助けてくださいー!」と涙目になって引きずられていく姿が見られたという



国家というものがあるのならば反対派も勿論いる訳で
そのアジトが近くに見える公園で、ミルクティーを飲んでノイジーは言った
「怪しい動きがあれば報告、ですか……何も技術部と清掃隊に頼まなくても」
「他の人員が皆仕事でてんてこ舞いだったそうです。諦めてください」

正直な話、こんな形をとらなくても西名なら遠慮なくノイジーを引っ張り出して来そうなのだがとノイジーは首を傾げる
何がいいのか自分に執着してく(れ)る相手に、ノイジーはどうすればいいのか分からなかった

「……あの、西名さ……ん!?」
西名に呼びかけようとした瞬間、ぐらりと西名は体制を崩した
丁度ベンチに座っていたのもあり、あわてて上体を抱えるノイジー

同時に至る所から黒い服の男たちがわっと現れた
ノイジーは焦った。西名が倒れた上に見張りがバレると思ってなかったのだ
「……仕方ない」
ノイジーは西名が寝ているのを確認して、ベンチに寝かせて立ち上がった

両腰に下げてた刀に手をあてる
混乱していた思考が収束するのが分かった
兄であるディクライアンにも見られる特性
武器を握った瞬間、彼は別人になる

二本の刀を抜刀し、前後に構えた
「かかって来やがれ。そこに全員転がしてやらぁ」




寝息をたてる西名にノイジーは安堵しながら帰りの道を行く
ノイジーに背負われた西名は、久しぶりの睡眠に気持ちよさそうであった
「……バレてなきゃいいけど」
小声でノイジーは言った

西名は片目をあけてノイジーを見た