バ科学者のノート 2冊目

小説をただひたすらに書いていく

2018-08-31から1日間の記事一覧

4 本と感情

本を読んでいると疑問に思うところがある そのときは辞書を引くのだけれど、人の感情や動作まで載っていないのがもどかしい だから、つい先生に尋ねてしまうのだ 「先生、ここの人の動きなんですけど……」 「見せてみろ。……ここは本当はこうした方が自然なん…

10 一人の戦場

『聞こえるかい、信行』 イマイの声がイヤホン越しに聞こえてくる 確かに家愛と秀忠もついてきてはくれるが、自分がやらなければという重圧が襲い掛かる 「聞こえてます、『判決者』さん」 『メイス使いはこの先にいる。不意打ちを仕掛ける必要はない。確実…

1 引っ越し

ガタン 大きく体をゆすられ、遠賀川暁は目を覚ました 薄暗いトラックの荷台にゆすられる経験はそうそうできないというのに、寝ていたようだ。 「……」 ヘッドホンに手をあて、遠賀川はうつむく 黒地のヘッドホンに、同じ黒でウサギのマーク 彼は聴覚が過敏………