バ科学者のノート 2冊目

小説をただひたすらに書いていく

2018-12-11から1日間の記事一覧

1 上京した男

汽車に揺られて早数刻 ようやく立ち上がり荷物を地面に置いた男は大きく伸びをした 「んーっ、ようやくついた!」 男は賑わう街を眺める 時は大正、場所は帝都 田舎生まれのこの男、名を望月真という そこそこの頭脳と体力、そして思いやりを持つ彼は渡来の…

プロローグ

例えば自分とそっくりな人間がこの世に存在するとして (自分とそっくりな人を3人見つけたら死ぬとかそういうのはどうでもいいんだ) そいつが「お前のドッペルゲンガーだ」とかいって (ドッペルゲンガーの気がなさそうなものに限る) 同時に世界に黒いオ…

19 言葉の呪い

宙を歩いているようだった ふわふわと足取りもおぼつかなく、彼は歩く 「おい」 不意に後ろから聞き覚えのある声が聞こえ、彼はびくりと震える 振り向いた先にはやはりそいつがいた 「相模君……」 相模は素行も態度も最悪な学生だった そして彼――千鳥は相模に…