バ科学者のノート 2冊目

小説をただひたすらに書いていく

お題SS 「交差点」

いつもの道。いつもの人混み
電車、道路、ビル
欠伸をひとつして横断歩道の前に止まる
変わったばかりの信号には俺一人しか並んでいなかった

まったくもって生きづらい世の中だ
何をしても間違い、間違い、間違い
もう何が正しいのか分からない

右向け右の人形の列に押し込められたような俺の時は過ぎ去る
そんな人生にはもう飽きてきたわけだが、生憎列を抜ける術は最初から用意されていない

赤信号の後ろに人が並び始めた
光を映さない目、端の下がった唇。皆同じ顔
自分も同じ顔をしているのだろうか
ああ、やだやだ

スクランブル交差点に踏み出した
迷いなくまっすぐに
まるで速足で逃げるように



赤信号は、まだ光っているというのに