バ科学者のノート 2冊目

小説をただひたすらに書いていく

9 イマイの力

「ふーん……」
イマイは片肘をついてマウスをいじる
そこに横からコーヒーがすっと差し出される
「イマイさん、お疲れ様です」
「ん。ありがとう、信行」

「君には、僕の事どれだけ話したっけ」
「闇ブローカーで、心器を見抜く力があるとだけ……」
「ん、そうだった」
イマイは電子製のパネルを信行に見せる

「今度、家愛と秀忠にも伝えるけど、ある仕事が舞い込んできている」
イマイはパネルを操作し、写真を写しだした
「赤い、メイス、ですか?」
「そう。君たちに任せたいのは、「殺人鬼殺し」だ」
「!」

「二つ名はまだない二流の殺し屋だ。君だけでもなんとかなりそうだけど、二人に補助をお願いしようかと思っている」
「……あの」
「そうそう、「僕の事」なんだけどさ」
そこでパネル越しに、信行はイマイの目を見てしまった
途端に襲い来る焦燥感。苦しいという感情が現れる
「僕、他人に命令することは絶対遂行させられるんだよね」
「!!」

「残念だったね、拾ったのが僕で」
イマイはパネルを閉じ、再び机に向かった
「期間は問わないから、自分でやれるとこまでやってみなよ」
「……」
素直に返事はできなかったが、彼は思った
この力には、逆らえないと