バ科学者のノート 2冊目

小説をただひたすらに書いていく

2018-08-30から1日間の記事一覧

プロローグ

ようこそ、我がベルベットルームに おやおや、今回のお客様は少々勝手が違うご様子 貴方に備わっているのは【虚無】の力 決して縛られることのない世界に住んでいるようだ 貴方は最後には一人になる けれど、決して「独り」ではない 意味はあとから知ればい…

3 街の怪盗と迷探偵

「先生、ついにこの街にも怪盗がでたそうですね!」 そういう私の目は、後から先生に訊けばきらきらしていたといった 「……んあ」 先生は眉間に皺を寄せたままソファにだらけて座っていた 「本で読みました! 先生たち探偵の宿敵にして好敵手! なんてカッコ…

9 イマイの力

「ふーん……」 イマイは片肘をついてマウスをいじる そこに横からコーヒーがすっと差し出される 「イマイさん、お疲れ様です」 「ん。ありがとう、信行」 「君には、僕の事どれだけ話したっけ」 「闇ブローカーで、心器を見抜く力があるとだけ……」 「ん、そう…

医者の真似事

数日間隔でこの山奥にある研究所に行くのも、ツキトは慣れてきていた 口は悪いが実績のある科学者・大黒屋は自分には猫をかぶらずに接してくれる 何だかそれが嬉しかった 「おはようございます」 そう言って研究所に入ると、応接間に見たことのある金髪が見…