バ科学者のノート 2冊目

小説をただひたすらに書いていく

2 彼女との出会い

滝沢椎名と津軽十蔵は態度こそ真逆とはいえよくつるむ、いわゆる悪友であった
優等生の滝沢は生活に倦怠感を覚えていた
不良学生の津軽はそれでも破れない殻があった
二人が仲良くなったのは、そんな関係があったからかもしれない

放課後、滝沢の部活が終わるとゲームセンターやファストフード店に入り浸って遊んだ
長期休暇になると子供のように山や川、果ては海まで遊びに行ったものである

そんな彼らがその屋敷を見つけたのは、森を探検していた時だ
茂る草木をよけながら進むと、目の前に古ぼけた屋敷が見えてきたのには驚いた
しかも明かりが点いている

「こんなところに人が住んでいるなんてね……」
「ちょっと、中、覗いてみようぜ」
津軽はそういうと、一番近くの窓まで滝沢を引き寄せた
二人でこっそり中を除くと、一人の少女が本を読んでいた
金髪に青い目。整えられたドレス。まるで異国の人形のようだ

「……あら?」
少女は本をめくる手を止め、窓の方を向く
二人はすぐに引っ込んだが、そんなものすら気にも留めずに少女は声をかけた
「そこに誰かいるの? 恥ずかしがらないで出てきてくれないかしら」

「どうするよ、滝沢」
「存在がばれてるなら仕方ない」
二人は窓に顔をだす
「まぁ、素敵なお客様だったのね!」
少女は嬉しそうに二人を見た
二人は顔を見合わせ、首を傾げた