バ科学者のノート 2冊目

小説をただひたすらに書いていく

78 突入

「これが、カルミアグループの本拠地ですか」
「デカいな」
「やっぱり国を動かす財閥ってだけあるかも」
視界に収まらないほどの高い建物を、四人は見上げた
カルミアグループ。ルソーが今、一番倒さなければならない相手である

「全員、地図は頭に入ってますね」
「『ハシモト』がハッキングする代わりにって頭に叩き込まれただろ。階段一つ間違えない自信はある」
「行きましょう。カルミアは、私も戦わなければならない相手ですから」
草香が言葉を強めて言った
それに全員が頷き、一歩踏み出した

普通の受付、普通の綺麗なエントランスホール
しかし、その入り口で警備員に止められる
雇われか何かだろうか。殺気や技能は感じ取れない
先陣切って入ったヤヨイは警備員を一瞥すると、慣れた手つきで警備員の首を落とした



玄関口で煙草を吸っていたハシモトがふっと息を吐く
「あながち嘘でもなかったらしいな、『猿回し』の忠告は」
ハレルヤ家の玄関口に、重装備の人間がたかりはじめていた
異常事態を悟られないよう、フブキにはマープルと部屋で遊んでいろと言っている

ハシモトは左胸に右腕を押し込んだ
ズルリと音を立てて現れたマシンガンに弾を滑らせる
「かかってこいよ、カルミアグループ。その腐った性根叩き潰して、ルソーの「目的」を達成させてやる」
銃声の乱舞が始まろうとしていた