バ科学者のノート 2冊目

小説をただひたすらに書いていく

17 ライフルと鎖

「兼森!」
豆生田の声が飛んでくる。それに続いて銃声が聞こえ、人形が数体飛ばされた
目の前に襲い掛かってくる人形を、そこに割って入った飯伏が斬り裂いた
横からの人形の奇襲を、数屋がハンマーで殴る

「……」
目まぐるしく起こる戦場のさなかを、兼森はただその中央で呆然と見ることしかできなかった

「兼森君」
後ろから声をかけられる
振り向くと、隊長が兼森のライフルを握って立っていた
「隊長……」

「君の発信機のおかげでここが見つかったけど、さすがに予想外の位置にいたね」
隊長は鹿目を見据える
「まさか、『陸軍基地の真下』にアジトを構えるなんて、さ」
灯台下暗し。気づかれないと思ったんだけどね」
鹿目は肩をすくめて言った

「兼森君、やることは、わかってるよね」
隊長は兼森にライフルを渡した
「……はい、隊長」
兼森はライフルを受けとり、正面きって駆け出した

「行かせるものか!」
人形が兼森に襲い掛かる
しかし、第4部隊も負けてはいない
兼森には、鎖に縛られた絶対時計までの道が見えていた

一足一足を確実に、兼森は走る
目の前に立ちはだかる人形を蹴散らし、踏み台にする
誰かが、何かを言ったような気がした

兼森は、手にしたライフルで、絶対時計の鎖を撃ち抜いた