バ科学者のノート 2冊目

小説をただひたすらに書いていく

29 予想以上のお手前で

今まで光の屈折で見えなかったレンズの群れが、朝霧の周りに現れる。

「見事だ、遠賀川くん。私の見立ては間違っていなかった」

敵意が消えたのを確認し、暁は「仮面」を仕舞う。

「私はこのレンズで敵を分析するのを得意とする。しかし攻撃に乏しくてね。今のレーザーくらいしか撃てるものがないのだ」

「だから、「条件を満たしたものを認める」ことにより、自分への攻撃を最小限にとどめた、と」

「その通り。そして、君の「仮面」についても大方把握できた」

 

朝霧も「仮面」を仕舞い、ゆっくりとこちらに近寄る。

「実に、実に興味深い「仮面」だった。どうだろう。ここは私と手を組まないかね」

「……お前と?」

「私は知っているのだ。黒波保険医が、否、「あの学校」が何を企んでいるか」

「!」

正直な話、初耳だった。

あの学校は、何かを企んでいる?

 

「……いいだろう。ただし、条件がある」

「ほう?」

暁は思い出していた。男になりたかった演劇部員と、人に怯える文学少年を。

「俺の仲間も、組ませてもらおうか」

「……ほほう。仲間想いともきたか。いいだろう。その条件、飲んだ」

二人はしかと手を握った