バ科学者のノート 2冊目

小説をただひたすらに書いていく

27 天才少女の挑戦状

休日は家で過ごすと決めていたのだが、久しぶりに外に出た暁。

心地よい雑音が欲しかったのだ。静かばかりでは落ち着かない。

 

まわりのあらゆるものを「音」でとらえる暁の力。

暁は、この力をよくは思っていなかった。

聞こえると言っても信用されない音の群れ。

過敏になる聴覚を遮っても聞こえてくる心の音。

いっそのことなくなってしまえばいいのに。暁はそう思っていた。

故に気づいていた。後ろから、聞き覚えのある音が接近していることは。

 

「おやぁ? これはこれは、遠賀川くんじゃないかね」

やはり。暁が振り向くと、にやにや笑いを浮かべる朝霧がいた。

「……何か用?」

分かっていた。朝霧はここで待ち伏せていたのを。そして、

 

「私の挑戦を受けたまえ、「仮面」使い、遠賀川暁!」

 

彼女は好奇心をこちらに向けていることを。