バ科学者のノート 2冊目

小説をただひたすらに書いていく

14 武器屋にて

「で、襲われるのが不安で俺を連れてきたってか」
フードを深く被ったライターは、ハシモトにひきつられながら路地を歩いていた
「お前らしくもねぇ。たかが買い物ごときでこんなこと……」
「いいから黙ってついてこいっての。お前のナイフも新調してやるからよ」

ハシモトはとある建物に入り、地下へと続く階段を下りだした
薄暗い通路の先に、一つの扉
ハシモトはそれを押し開けた

中は赤系統の光で埋め尽くされた空間だった
趣味の悪い飾りの間を抜けると、カウンターにたどり着く
「よう、『ネズミ』。ご主人はどこだ」
『ネズミ』と呼ばれた男……否、少年はハシモトの声にびっくりしたかのように奥へと引っ込んだ
「おい、ビビらせてどうすんだよ」
「いいんだよ、これで」

暫くもしないうちに、『ネズミ』は一人の女性を連れてきた
「おや、最近よく来るじゃないか、『ハシモト』」
スタイルのいいその女性はハシモトに胸を押し付けるようにすり寄るが、ハシモトは全く動じていない
「『イブ』、マシンガンの弾と、ナイフを新調したい。できるか」
「あたしを誰だと思ってるのよ。すぐに用意してあげるわ」
『イブ』はそういうと、再び奥へと引っ込んでいった

「……あの、そこの背の高いお方は……」
『ネズミ』が恐る恐るライターを見上げる
しかし、ライターの「あ?」という威圧に悲鳴を上げてカウンターに隠れる
「なんだ、あのチビ。こんなに弱弱しくてこの世界でやってられるのかよ」
「なめてかかるなよ、『篝火』。『ネズミ』はこの武器屋の主である『イブ』の用心棒だ。実力はある」
「そんな、僕なんてただの小動物ですから……」

「はぁい、お待たせ」
暫くして『イブ』が武器を抱えて戻ってきた
「いつもの弾、用意しておいたわよ。ナイフはここから選んで」
「ほら、『篝火』」
ハシモトの促しに応え、ライターはナイフを物色し始める

「……あの、『ハシモト』」
その時、カウンターからわずかにこちらを見上げながら『ネズミ』が声をかけた
「何か悩んでるんだったら、相談して。僕、話を聞くことくらいならできるから」
「……そのうちな」
ハシモトは動揺を隠しながらライターの背を見た