13 閃光を操る少女
真と静音は目の前の光景を睨んだ。
倒れゆく幾人もの人間、逃げ惑う人々、そして、「黒いオーラ」を放つ人物。
「な、何だい、これは……」
静音が絶句している。真はマコトを見た。
「マコト、準備は」
「ばっちりだよ。いけ!」
真はまっすぐ指をさして言った。
「「犯人はお前だ」!」
現れた黒い怪物に、静音は更に後ずさりする。それをかばうように真が立ち、マコトは両手に炎を構えた。
「これは、一体?」
「説明している暇はないです。早く避難を……!?」
静音の背を押そうとした真は、その先に͡コトネが付いてきていることに気づいた。
「コトネちゃん! そっちに行ったら駄目だ!」
真の静止も聞かず、コトネはゆっくりと前に出る。左腕にぬいぐるみを抱え、右手を遊ばせて。
その瞬間、ガラスが割れるような、鋭い音が響いた。雷だ。この晴天に、雷が落ちたのである。雷は怪物を貫いたらしく、怪物はその場で悶える。
マコトはコトネを見ると、にっと笑って手を引いた。そして、二人で突撃し、怪物を消滅させた。
「コトネちゃん、「怪盗」だったのか」
驚きを隠せない真が言う。マコトは欠片を拾いながらコトネの方を見た。
「「怪盗」は一人、いつの間にか生まれる存在なんだ。宿主が決まるまでどこにも所属しないし、誰も親になってくれない」
マコトはコトネの手を引いて、静音を見た。
「だから、私からもお願いするよ。彼女の居所になってほしい」
「……分かったよ」
静音はコトネの手を取った。
「改めてよろしく、コトネちゃん」
コトネはぱっと明るい笑顔になり、静音に飛びついた。