バ科学者のノート 2冊目

小説をただひたすらに書いていく

17 決意:白虎組の場合

「そうか、わしらも選抜された、と」
存外低い声で返されたので、石川は僅かに驚きながら彼を見る。「まぁ、とりあえず座れ」と促し、畳の部屋に巌流島と甲賀と石川の三人。

 

「……石川殿、ひとつだけ願望を言ってもえいか」
「構わねぇぜ。聞くだけ聞いてやる」
「忍のことなんじゃが」
巌流島はちらりと甲賀を見る。
「言うと思った」
石川はぽつりと返す。二人の視線が彼に向く。

 

「最初から分かってたよ。あんたたち見てれば、互いにかばい合って、相手をこちらに置いておけと言うことくらいはな」
「!」
「忍、もしかして主も」
「……ええ。こんなこと、一般人の私の言えた台詞ではありませんでしたが」
石川は息を吐き、視線を上げる。

 

「あんたら、まだ自分たちの才能に気づいていない節がある」
「才能?」
石川は声を投げかける。どちらかにではない。巌流島にも、甲賀にも届くように。
「常に二人で行動し続けてきたが故だろうな。お前たちは「互いがいる」ことにより「互いを守る」ために動き、結果として「互いの力を引き出している」。ここに二人を呼び込んで生活しているのをみて、伊藤弟だけじゃなく、そういった才のない俺も感じ取ったね。だから、甲賀が一般人であることを把握しているうえで、巌流島についていかせた」
「つまり、常に最高の状態を保つために、私が役に立たないのをわかっていて」
「ちょっと違う。さっきも言っただろ、巌流島がいることにより甲賀の力も引き出される。つまり、役に立っているんだ、おまえもな」

 

「この話をきいて、改めて確認したい。お前たちは、行くつもりはあるか?」
巌流島と甲賀は顔を見合わせる。しかし、そこに迷いはなかった。
「……忍」
「お館様、私はどこまでも」
石川は頷いて立ち上がった。