バ科学者のノート 2冊目

小説をただひたすらに書いていく

19 出陣

「討伐隊、全員揃ったぜ」
石川が声を上げる。浩太と乙哉は互いに言葉を交わしていた。
「行ってくるよ、乙哉」
「気を付けてね、兄貴。こっちのことは任せて」
「伊藤兄、そろそろいいか」
「うん、今行く」

 

「華村さん」
「カワウチちゃん。君も討伐隊に?」
「田辺さんに頼まれたんす。本当は雑用していたかったんすけどね」
頭をかいてカワウチは笑う。
「華村さんも来るなんて意外だったっす。よろしくお願いするっすよ」
「こちらこそ」
微笑む華村。その銀の瞳が自分を引き付けて離さないことをカワウチは感じていた。
「……ふふっ」
「カワウチちゃん?」
「いや、きれいな目をしてるなって思って」
「僕はこれ、嫌いなんだけどな」
「えー、もったいないっすよ! 自信もっていいんすから!」
素直には喜べなかったが、カワウチの言葉なら素直に信じていいかもしれないと、華村は思うことができた。

 

「これより怪異現象撲滅のため、西の果てへと向かう! 無理だけはするな。俺たちは何よりもお前たちの安全を保障する役目がある。すべては世界の笑顔のために!」
「「「すべては世界の笑顔のために!!」」」

 

そうして、
華村にとって忘れられない旅が、始まった。