バ科学者のノート 2冊目

小説をただひたすらに書いていく

16 弾数

裏路地を選んで逃げ続けるのも疲れてきていた
それでも後ろの男は圧倒的なスピードで追ってくる
似長は足を止め、懐から拳銃を取り出して向けた
だが、後ろの男はそれを認めると、突然高く飛び上がったのだ

縦横無尽に動き回る男に照準を合わせることができず、似長は焦る
拳銃はただの護身用であり、弾もそれほど入っていないからだ
自分の力の「制約」もかかり、思うように動けずにいた

「さぁて、お遊びはここまでにしようか」
男は言う。そして自分たちの目の前におりると、一気に距離を詰めてきた
「話してくれないなら、無理やり吐かせるまでだよ!」

「『舞え』!」
男のナイフが似長を襲おうとした瞬間、後ろにいた紫苑が叫んだ
そしてその瞬間、男の動きが止まった
「なっ……!?」
「似長、チャンス!」

「『逝け』!」
紫苑が作ったチャンスを似長は逃さなかった
強い風が吹く。空気に圧迫される
男はもろにその力を受け、その場に倒れこんだ

「……ふぅ、助かったぜ、紫苑」
「のんきに言ってる場合じゃないでしょ。早くこの人を連れて事務所に報告に行かなきゃ」
紫苑に言われ、似長は男を背負いあげた