バ科学者のノート 2冊目

小説をただひたすらに書いていく

18 双子と双子

「ごめんね、ルソーたちが頓珍漢なせいで貴方にまで被害が及んじゃって」
「いえ、私もわかってて乗りましたし、ルソーさんたちは悪くないです」
商店街を周るマヨイとヤヨイ。先日のお詫びにヤヨイが何かおごろうとしていた

「怖くなかったの、そんな役割担って」
「怖くはなかったというか、実感がなかったんです。まさか、そんなすごい殺人鬼に狙われてるだなんて思ってなくて」
でも、とマヨイはヤヨイの方を向く
「それだけヤヨイさんがすごい人ってことですよね」
「私は別に、大したことないよ。うん、きっとそう」
ヤヨイはわずかに顔をそらす

「そんなことより、マヨイさんって、何か興味とかないの? 流行のアイドルとかグッズとか、私、わかんなくて」
「私もさっぱりなんですよ。だから、ちょっとだけ学校ではういていて」
遠慮気味にマヨイは言い、視線をおとした
「マヨイさん、貴方……」

「よう、そこのお二人さん」
その時、そんな声をかけられて二人は振り返った
そこには、鏡写しのようにそっくりな男が二人立っていた

「ヒュウ、本当にそっくりだな、おい」
「調子に乗るな、『火花』。今回は取り逃がすとまずいからな」
不穏な会話にヤヨイが前に出そうになるが、マヨイがそれを抑えた

「マヨイさん、危ないからここは下がってて」
「いくらヤヨイさんでも、男の人二人じゃ危ないです。それに」
マヨイはまっすぐヤヨイを見た
「私だって、守られてばかりは、悔しい」

「さぁーて、どっちが本物の『仕立て屋』かなー?」
「この際どっちでも構わない。わからないのなら、両方殺してしまえばいい」
二人の男が腰に手を当てる

「俺たち『火花』『閃光』が」
「抹殺してやる」