バ科学者のノート 2冊目

小説をただひたすらに書いていく

15 教えてあげる

夜遅く、塾から出てきた委員長は帰りの道を歩いていた
この辺は薄暗く、点々とライトがついているだけである
故に警戒はしていたが、予想外の事態とはいつでも起こりうるのである

「ねぇ」
そんな声が聞こえて、彼女は振り返った
スポットライトのように街灯が彼女を照らす

自分よりわずかに背の高い、声からしておそらく男性
黒い服装からか、その全容がわからない
「な、なんですか」
彼女の頭は既にその正体を掴んでいた
黒い古ボロに骸骨の仮面。『首狩り』だ

「君は、本当に運がいいよね」
やや高い声で『首狩り』は言う
「僕に惚れられたから、死なずに済むんだから」
「惚れていた……?」

「君にだけ教えてあげる」
『首狩り』は一歩近づくと、そっと仮面を外した
「皆には、内緒だよ」
彼はそういうと仮面を戻して立ち去った

「……××君?」
委員長は小声でつぶやいた