バ科学者のノート 2冊目

小説をただひたすらに書いていく

【逢魔ヶ刻に止まる刻】人形と人間

とある昼下がり(太陽が延々と夕刻の位置で止まっているのに昼というのもおかしな話だが)
食事がたまたま一緒になった別部隊の部下が問いかけた
人形と人間をどうやって見分けているのかと
僕は簡単に答えた
目が肥えてくるとわかるものだと

実際、問われるまで僕はどうやって人形を見分けているのか覚えてなかった
例えばそう、目の色とか歩き方とか首の後ろの番号とか、そういった基本的なところから見分けているのであろうが
実際そこまであてにして見分けているのかといえば微妙だ

あえて言うならば
奴らには「愛」と「生気」というものがない
生気のないやつは街中で人ごみに紛れていても案外わかるものである

「僕も間違ったことはあるよ」
僕はそう言ってカレーを一口呑み込んだ
「でも、僕らに「間違い」は許されない。間違いはすなわち、人間の死なのだから」
そっちの方が気楽でいいよ、と部下は言った
僕はこつんと部下を叩いた

「斜陽会」とよばれる団体は一体何を考えているのか
それは僕にさえわからない
ただ、一つ言うならば
人間を殺すのが苦にならないほど、彼らもまた、「愛」を求めているのだと思う