バ科学者のノート 2冊目

小説をただひたすらに書いていく

ルナお姉ちゃんと林檎

「あの人は、ルナお姉ちゃん」
林檎が帰ってきてから梨沢は一緒にいた女性について尋ねた。ついてきてしまっていたことはバレたが、林檎は嫌な顔ひとつしなかった

「迷子になった時、助けてくれた。最初は、人形さんかなって思ったけど、そんなことなかった」
梨沢は気づく。今までヘテロの介入がなければ延々と「人形」と勘違いしてた林檎が、自力で人間と気づいていたのだ

「それから、時々あの公園で会うの。ルナお姉ちゃんはクッキーが好きだから、いつも持ってきてくれて、一緒に食べる」
「…楽しいのか?」
梨沢には、二人が無言でクッキーを食べてるようにしか見えなかったのだが
「楽しいよ」
林檎は表情は変えなかったが、明るい声で答えた

「ルナお姉ちゃん、僕とよく似てるの。僕、ルナお姉ちゃん、好き」
そう答える林檎を見ながら、梨沢は「そうか」と呟き、頭をなでた