バ科学者のノート 2冊目

小説をただひたすらに書いていく

5 カルミア騒動

ハシモトは常に情報収集する
それは、パソコンによるハッキング作業から日常の仕事にまで及ぶ
ハシモト以外から裏の仕事を受け付けないルソーがこの業界を生き抜いているのは、ある意味でハシモトの情報力のなせる業であった

そんなルソーもたまに情報を提供することがある
「「古伊勢博士」が悪者あつかいされていた?」
街中のカフェで熱いコーヒーに息を吹きかけ、ハシモトは一口飲む
「はい、草香さんから聞いた話なのですが」

ルソーたちにより引き起こされ、一時期騒然となった「カルミア騒動」
その情報源のほとんどを、今は草香に頼るしかない状態である
「500年前、カルミア研究所がつぶされた時、公の発表としては古伊勢博士一行をテロ組織とみなしていたそうです」
「うん? となると、兵器の如何は政府が絡んでいたかもしれねェってのか?」
「そう踏んで間違いないと思います」

「そりゃ、滅茶苦茶苦労したんだろうな、一行は」
「まぁ、もっとも、壊滅の数日後に全員姿を消したんですが」
名瀬田によってね。そういい、ルソーもカップを口に運んだ

「それじゃ、今日はこのくらいで。金は払っておくから出ていいぞ」
「珍しいですね、貴方がおごるなんて」
「情報料にしてみれば安い方だ」

それでは、とルソーは頭をさげ、店を後にしようとする
しかし、後ろ手でハシモトに阻まれ、首を傾げた
「……事務所まで、送ってくれ」
彼はそう呟いた