バ科学者のノート 2冊目

小説をただひたすらに書いていく

「異端」

ノイズが走る。目の前で砂嵐が起こる
奥の景色がよく見えない。振り返っても道はない
「お前は、もう、来るな」
そんな声が聞こえる。本気で嫌悪、いや、恐怖した声

どうして
考えもしない言葉がよぎり、その場にうずくまる
ぼたぼたと大粒の涙が落ちる
違う、嫌だ、これは、何だ

「お前は」
やめろ
そこから先を言うな
信じたくない。なのに、なのに

「異端だ」



次に目が覚めたとき、彼はベッドの上で汗だくになっていた
じっとりと湿った左手で頭を抱え、右手をじっと見る
呼吸が荒い
今、俺は何を見ていたんだろう
覚えていない。でも、感じる「既視感」
彼は起きたばかりだというのに、疲弊していた

「……気持ちわりぃ」
そう一つ呟き、彼はシャワーを浴びるために軽装のまま階段を下りて行った

『私たちは異端な探偵、「異探偵」と呼ばれていましてね』
何故か、以前梅ヶ枝が言ったその言葉がよぎる
『ですからチームの名前も、異端を意味する「ヘテロ」にしたのですよ』
「……ちっ、くだらねぇ」
梨沢はそう吐き捨て、脱衣所に手をかけた