バ科学者のノート 2冊目

小説をただひたすらに書いていく

13 復讐の始まり

「信行」
イマイが端末を持って信行の部屋を訪れた
「どうしたんですか、イマイさん」
「そろそろ身の上話が訊きたいなと思って」
「秀忠さんと家愛さんは」
「秀忠は恋人とデート、家愛は僕の知り合いまでおつかいに行ってもらってるよ。今ここには僕たちしかいない」

「君は学生服で、あの場所に立っていたよね」
あの場所。信行とイマイが最初に出会った場所だ
「あれは……」
「言わなくてもいいよ。身元がすぐばれる死に方がしたかったんだろう?」
「!」

「学校帰りかもしれなかったけど、皆普通は家でこっそり死ぬしね。家にも帰れない理由があったのかい?」
「……」
信行はうつむいたままベッドに座っている
イマイはその隣に座る

「僕の心器は「死神」を象徴する鎌。だから、生まれた時から皆が恐怖して色んな仕打ちを受けました」
ぽつぽつと信行は語る
「いじめも受けました。虐待も受けました。殺される寸前までいきました。それでも罪と僕を恐れた皆は、殺すまではしなかった。貴方が初めてでした、僕に親しく声をかけてくれるのは」
「僕は事情が特殊だったからね」

「君は、君の知り合いを殺す覚悟はあるかい?」
単刀直入に信行は切り出した
信行は迷った。しかしやがて首を縦に振った
「なら、僕の目を見て」

深淵より深い闇のようなイ1マイの目
それに見つめられたものは、必ず命令を遂行する
「始めよう、君の復讐劇を」